2022年 1月 12日
FLOWER+1<お花のふるさとと知られざる魅力>
VOL.10 千葉・南房総「青木園芸」の可愛らしいラナンキュラス
南房総にはひと足早い春が訪れていました
仰ぎ見た青空の向こうに、なだらかな山並みが広がっていました。淡い緑のグラデーションの中に散りばめられたピンクは、咲き始めたばかりの山桜でしょうか。菜の花に彩られた田畑からは、ゲコゲコとカエルたちの大合唱が聞こえてきます。「昨日あたりから鳴き始めたんですよ。春ですね」。青木園芸代表の青木良平さんはそう言って、目を細めます。
千葉県南房総市というと海のイメージがありますが、青木園芸の圃場があるのは見渡す限りの田園風景の中。年間を通じて寒暖差が大きく、花の栽培に適したこの地域で、30品目ほどの花やハーブを育てているそうです。
表情豊かな変わり咲きのラナンキュラスを栽培
なかでも力を入れているのがラナンキュラスの栽培です。ラナンキュラスといえば薄い花びらが幾重にも重なった可憐な花姿で、春の花の中でもとりわけ人気。近年は品種改良が進み、さまざまな咲き方や色合いのものが登場しています。
青木園芸では、フリルのような形状の花びらが幾重にも重なったポンポンシリーズと、花の中心からめしべが顔をのぞかせているモロッコシリーズなど、数種類を栽培しています。「ポンポンシリーズもモロッコシリーズも、初めて見た瞬間に〝うちが作る花だ〟と思ったんですよ。どちらも咲き方や色幅に個体差があって、花の一つひとつに表情があるのが魅力です」と青木さん。
お気に入りはポンポンシリーズの「フローラ」。オレンジにグリーンが差す花で、バラなどと合わせてウェディングブーケなどにもよく使われています。
青木園芸では、フリルのような形状の花びらが幾重にも重なったポンポンシリーズと、花の中心からめしべが顔をのぞかせているモロッコシリーズなど、数種類を栽培しています。「ポンポンシリーズもモロッコシリーズも、初めて見た瞬間に〝うちが作る花だ〟と思ったんですよ。どちらも咲き方や色幅に個体差があって、花の一つひとつに表情があるのが魅力です」と青木さん。
お気に入りはポンポンシリーズの「フローラ」。オレンジにグリーンが差す花で、バラなどと合わせてウェディングブーケなどにもよく使われています。
▲フリルのような花びらが重なるポンポンシリーズ
一つひとつの花に表情があるのが魅力
春の訪れを告げる花として知られるラナンキュラスですが、青木園芸では球根に冷蔵処理を施すことで開花を早め、11月からの早期出荷を実現。別のハウスで栽培しているゼラニウム、ホワイトレースなどと合わせて、自社の花だけで春を先取りするブーケを作ることもあるそうです。
白からグリーンのグラデーションが美しい「イグルー」、鮮やかな黄色とグリーンの2色咲きが特徴の「ルナ」など、青木園芸のラナンキュラスの魅力はその絶妙な色合いにあります。「グラデーションの入り方も個体差があって、どれも同じ顔じゃないのがいいんですよね。均一でないぶん、栽培の手間はかかりますが、その花がいちばんきれいに見えるタイミングを見極めて収穫するのが我々のいちばんの仕事だと思っています」。栽培のこだわりを伺うと「実はそれほどないんですよ」と笑う青木さんですが、こうして一輪一輪と丁寧に向き合っているからこそ、きれいな花を咲かせることができるのだと感じました。
フレッシュなグリーンと合わせて春らしく
コロンと咲く姿が可愛らしいラナンキュラスは、初心者でも飾りやすい花材。ラナンキュラスを1~2輪だけで飾るのはもちろん、同じく春を彩るスイートピーやチューリップなどと合わせても素敵です。花色もピンクや黄色などのビビッドカラーから、ベージュやくすんだピンク系などのニュアンスカラーまであり、好みに合わせてさまざまなイメージのアレンジが楽しめるのも魅力。咲くと大きく開くので、ゆったりと余裕をもって花器にいけるといいでしょう。おすすめは、一輪挿しなど口が小さめの花器をいくつか用意し、ラナンキュラス1~2輪とツルのグリーンを組み合わせた飾り方。高低差をつけるとリズム感がでて、簡単におしゃれなイメージに仕上がります。細くて柔らかな茎を丁寧に扱うのがコツ
春の花は温度変化でどんどん開花するので、長く楽しみたいときはなるべく暖房の効いていない涼しい場所に飾るようにしましょう。花瓶の水は少なめにし、こまめに水替えと切り戻しをするのもコツです。また大ぶりの花に対し、細くて柔らかな茎を持つラナンキュラスは、大きく咲くと花の重さで茎が折れることも。その場合は折れたところからカットして、頭を揃えて活けてみて。ふんわりと春らしい可憐なアレンジが楽しめるはずです。
協力: OZmagazine[スターツ出版(株)]